サッカーでゴールに直結し非常に重要なエリアとして認知されているバイタルエリア。
そのエリアにおける守備戦術、崩し方に関して深く追求しています。
バイタルエリアが重要だとわかっていても、その守り方や有効な攻め方など具体的にはどうなのかとなった時に全員が明確にサジェスチョンできるわけではないと思います。
重要なエリアとわかっていて、そこに関して曖昧さがあることは非常にもったいないことです。
より見解を深め、バイタルエリアを支配しできるようにしましょう。
目次

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サッカーにおけるバイタルエリアとは?
サッカーにおけるバイタルエリアとは攻撃においてゴールをするチャンスを作りやすいエリアのことを言います。
バイタルエリアという言葉の意味からみても
「vital=重要な」
「area=空間」
という重要なエリアだということがわかります。
では、具体的にどのエリアかというと、
縦の幅→DFラインとMFのラインの間
横の幅→ペナルティエリアの横幅くらい
がバイタルエリアになります。
バイタルエリアの横幅はペナルティエリアの横幅であるため変化しません。しかし、縦の幅と位置は下の図のようにDFラインの上げ下げや、MFの位置どりによって変化していきます。
バイタルエリアとアタッキングサードの違い
サッカー用語の中のよく似た言葉で、「アタッキングサード」というものがあります。
これはフィールドを縦に3分割した際の相手ゴール付近を指す言葉です。こちらはフィールドの場所を呼ぶ言葉です。
それに対して、バイタルエリアは選手間のスペースに存在しています。フィールド上の常に一定の位置にあるわけではなく、試合展開によって変化していきます。
DFラインが上がり、MFのラインも上がれば、バイタルエリアの位置も上がります。DFラインとMFのライン間が狭くなれば、バイタルエリアは狭くなります。
このようにバイタルエリアは選手間のスペースに、相対的に位置するものです。
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バイタルエリアの重要性
では、バイタルエリアはどのような点が「vital=重要」なのでしょうか?
バイタルエリアは攻守においてゴールに直結するという意味で非常な重要なエリアとなっています。
バイタルエリアにボールを入れ、そこからスルーパスなども有効です。それに加えてバイタルエリアにボールが入ると、相手の守備陣系が崩れやすいのです。そこからスルーパス・シュートなどができなくても、相手の守備のズレからより効果的な攻撃へと発展させることもできるのです。
一つ具体的な例を挙げて説明すると、
①バイタルエリアでFWの選手がボールを受けられると

②相手の中央のDFがボールを奪いにくる

③ボールを奪いにきたDFの選手の背後にスペースができる

④その背後のスペースを使った攻撃ができる

下の動画でもみてみると、相手の中央のDFを釣り出して、その背後にできたスペースを使ったことによりゴールが生まれていますよね。
ナポリのレイオフ
— とんとん (@sabaku1132) 2018年3月21日
・中央の密度を高めるインテルに対して
・高密度のブロックの隙間を縫う強烈なパスを2人がかりで収めてかつ前を向く
・エントレ要員に2人確保。レイオフも物理的に2人必要、ゴールに迫れない時のナポリはエントレに2枚割けない時が多い pic.twitter.com/uqvPqPnpFQ
もし、スペースを消されたら?
しかし、相手もそう簡単には中央のスペースを使わせてくれません。そのため、そのDFの選手が釣り出された背後の中央のスペースをサイドのDFがカバーリングしてくるはずです。
⑤もし、その背後のスペースを相手のサイドのDFに消された場合

⑥サイドにスペースができる

⑥サイドからクロス攻撃ができる

こちらも動画でみてみると、バイタルエリアでボールを受けたことによって、中央に相手DF陣が密集して、サイドにスペースができていることがわかります。
そして、そのスペースをサイドの選手が使い、クロスからチャンスを作り、ゴールをすることができています。
川崎が魅せた圧巻の崩し。
— 吉山 耕作 (@y_kooosaku18) 2018年11月24日
GKの縦パスから攻撃が始まり、守田のフリックやエウシーニョの外から中への斜めのパス。クロスに対して平行に構えていた長谷川のポジショニング。
そして、ゴール後の「一体感」 pic.twitter.com/KQseRepOtF
また、このシーンのポイントは、ただバイタルエリアでボールを受けるのではなく、
前を向いて、バイタルエリアでボールを受ける
ということです。
バイタルエリアで前を向いた状態でボールを受けなければ、シュートや前へのパスの選択肢がなくなります。そうすると、相手は脅威を感じず、ボールを奪いにこないため、チャンスとなるスペースも生まれません。
そのため、攻撃の選手はバイタルエリアでボールを受けた際は「前を向いた状態でボールを受ける」もしくは「自分の力で前を向く」ことが大切になります。
相手がマークしずらいように相手と相手の間にポジションをとったり、ターンで相手を剥がして自分の力で前を向いた状態を作るなどの工夫をしてバイタルエリアでチャンスを作れるようにしましょう。
#武藤嘉紀 が2戦連発弾を決めた!!
— DAZN ダゾーン (@DAZN_JPN) 2018年1月20日
バイタルエリアから右足一閃!
今季5ゴール目でマインツが同点に追いついた。#ブンデスリーガ 第19節 #マインツ×#シュトゥットガルト は #DAZN で配信中。 pic.twitter.com/IK1V3bL2sB
【 U-23 C大阪戦 Pick Up】
— 隅さん®︎ (@tokyo12_style12) 2018年7月15日
2つの失点シーンにフォーカス。
守備陣形をコンパクトに保てないことで自陣バイタルエリアのスペースが空いている。遅れて対応する #山田将之 もあのタイミングで寄せれば入れ替わることが想定できるはず。3失点目も失い方が悪いとは言え球際の争いで負ける主将は厳しい。 pic.twitter.com/wbcfitwpR7
バイタルエリアを使われないようにするための守備
バイタルエリアを使った攻撃が得点を奪うために有効だということがわかりましたね。
しかし、裏を返せば、守備側にとってはそのバイタルエリアを使われた攻撃をされるとピンチになるため、バイタルエリアを使わせない守備をしなければなりません。
では、どうやってバイタルエリアを使わせない守備をすればいいのでしょうか?
バイタルエリアへのパスコースを切る
まずはバイタルエリアのパスコースを切ることが大切です。
そのためには、FWのポジションを把握して、時には自分が守りやすいようにFWを動かして、パスコースを消すことが大切です。
また、味方との位置関係も非常に重要です。味方の位置を確認してプレーしなければ、同じパスコースを切ってしまい違うパスコースを相手に与えることになります。
誰がどのコースを切るのかという連携も非常に重要になってきます。
大分の完璧なプレッシング。
— てぃす????@YouTube (@TiS_Official_) 2019年2月23日
斜めに走る選手にも付く、楔のパスコース塞ぐ、パスコースを横に限定しボールホルダーを誘導してから囲い込む。 pic.twitter.com/fhIQ69sbzR
バイタルエリアのスペースを狭くする
動画では非常にコンパクトなブロックを形成しており、バイタルエリアは10m前後に縮小されています。
ボランチの選手がボールを奪いに出て行っても、サイドハーフの選手が中に絞り、密度をキープしています。
この状態から無理やりバイタルエリアへボールを入れれば動画のように、あらゆる角度からプレッシャーをかけられボールを失います。中にいる選手はどこからもプレッシャーが来るという恐怖感もあるため、見た目以上にプレッシャーがかかっていると思います。
映像では横も25mほどの距離を保っており、逆サイドは手薄になりますが、ボールサイド、とりわけバイタルエリアは絶対に使わせないというような守備を行っています。
『浦和戦 Pick Up』①
— 隅さん®︎ (@tokyo12_style12) 2019年3月31日
「堅守速攻」は志向しているのではなく、強みであるということ。
押し込まれたとき、リトリートした4-4-2フラットの陣形を敷きファーストディフェンダーを明確にしてある。誰がプレスに行って、スペースを埋めるか。
相手から時間を奪い距離を詰めて奪ったら速攻を仕掛ける! pic.twitter.com/ddV2ceQp6s
もし、バイタルエリアへを使われてしまっても
もし、バイタルエリアを使われてしまっても慌ててはいけません。バイタルエリアで前を向かれ、状況が悪い中CBが飛び込んでしまえばスルーパスなどを通されてしまいます。
チャンスがあれば奪いにいきますが、まずはしっかりとゴールを隠すようにポジションを取ってやられないことを意識します。そして、両サイドの選手も中に絞り中央の密度を高めます。中盤の選手は相手へのプレッシャー・スペースを埋めるために素早くプレスバックを行います。
そして、サイドにボールを流させて、そこにもしっかりとゴール隠すようにプレッシャーに行きます。そこで奪えればベストですが、絶対にかわされないようにして相手にバックパスを選択させます。
それと同時にボールホルダーへのプレッシャー、ラインアップを行い再び陣地の挽回、バランスの回復を試みます。
バイタルエリアを使われても慌てることなく、上記のような順で守備をすることが大切です。
ボールを保持して前進を試みる柏だが、広島のプレスに苦しむ展開。左サイドへボールを逃して打開を図るが、この時もやはり2トップがバイタルエリアまで戻ってきて守備に参加しており、厚みのある広島の守備を突破できない pic.twitter.com/7RnHcDOeVr
— 羊 (@GP_02A) 2018年4月9日
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バイタルエリアを使った攻撃戦術
守備側はこのようにバイタルエリアを使わせないような守備をしてきます。
では、攻撃側はその守備に対して、どうやってバイタルエリアに侵入していけばいいのでしょうか?
バイタルエリアへの侵入方法を見本となる動画を用いてご紹介していきたいと思います。
侵入方法① 中央からのパス&ドリブルで侵入
まずは中央からシンプルにパスとドリブルを用いてバイタルエリアへの侵入を試みましょう。
動画のようにドリブルで中央の相手を1人剥がせることで相手の陣形は崩れ、対応が後手になっていることがよくわかります。
また、パスをバイタルエリア受けることで相手CBを釣り出しスルーパスを通して得点するシーンも見事な崩しです。
中央のドリブルによるバイタルエリア攻略
【後半5分】清水-浦和
— Caien (@soccer_caien) 2017年8月28日
#マウリシオ から #ラファエルシルバ が受けて素早くターン。
相手ボランチ2枚を引き付けて、斜めに抜けた #阿部勇樹 へ。阿部と武藤が相手CBを釣り出して再び #ラファエルシルバ #武藤雄樹 がこぼれ球に詰めるもオフサイド#urawareds pic.twitter.com/SLYwMpMTwN
中央からのパスによるバイタルエリア攻略
華麗な崩し!
— DAZN ダゾーン (@DAZN_JPN) 2017年10月10日
マテュイディが中央で上手く前を向き、抜け出したグリーズマンへ。
最後はGKの股間を抜いてネットを揺らした。#W杯欧州予選 フランス×ベラルーシは https://t.co/u4BaoHt81Q で配信中。#テレビでDAZN???? pic.twitter.com/wXXDa7yg2k
侵入方法② サイドからドリブルで侵入
しかし、相手も中央からの突破はそう簡単にはやらせてくれません。そのため、次はサイドからドリブルでバイタルエリアへの侵入を試みましょう。
動画でもそうですが、サイドから侵入されると相手のマークがずれて対応が非常に困難になります。
特に侵入しやすいのは、相手のSB(サイドバック)とSH(サイドハーフ)の縦の間のスペースです。タイミングよくそのスペースにこちらのSHの選手などが入り込み一気にドリブルでカットインすることでバイタルエリアへ侵入していくことができます。
そのプレーにより、ボランチへの横パス、FWへのクサビ、食いついたSBの背後へのスルーパスなど多くの崩しの選択肢を持つことが可能になります。
⚠️注目⚠️
— ドリブル上達塾@親愛なる隣人 (@NWUV4kcZGcgf7n3) 2019年1月8日
【チェルシーの攻撃】
中央のパスコースを消される。
しかし、
サイド攻撃に切り替え
素早いパスで崩し
攻撃パターンを多く
持っている!
pic.twitter.com/WHd3gYNm9E
侵入方法③ サイドから斜めのパスで侵入
ドリブルでも侵入が難しいと判断したら、次はサイドから斜めのパスでバイタルエリアへの侵入を試みましょう。
斜めのパスに対しては守備者はボール・マーカーを同時に視野にとらえにくいため、後手の対応になることが多くバイタルエリアに侵入しやすいです。
また、FWに対して斜めに入れる楔のボールもDFから遠い足に入れることで、失うリスクを減らせると同時に相手CBを食いつかせる効果もあります。
さらに、その瞬間にFW選手のサポートに入ることで前向きの形が作れたり、食いつたCBの背後を狙えたりと相手守備陣を崩す糸口を作ることができます。
J1【川崎フロンターレvs浦和レッズ】
— とも号 (@tomopanman5) 2016年4月24日
後半9分
武藤選手のゴールで浦和が先制!!!
素晴らしすぎる崩し!!!
いやー、浦和うまい!! pic.twitter.com/6E3hIgyssl
見事な崩しから先制点!
— DAZN ダゾーン (@DAZN_JPN) 2017年8月13日
家長が中央へスルーパス。阿部がシュートするかと思いきやスルー、そのボールを #大島僚太 が冷静に決め今季初ゴール!
明治安田J1第22節 川崎F×鹿島は https://t.co/u4BaoHt81Q で配信中@frontale_staff pic.twitter.com/SiuXqB3o7Q
バイタルエリアを使えないときの攻撃戦術
バイタルエリアを使えない時は片方のサイドから逆のSBの背後に入れる攻撃が有効です。
片側のサイドでボールを保持して意図的に相手DFを一方のサイドに寄せます。そうすることで逆のサイドにスペースを作ることができ、また、そこのスペースはDF陣の死角でもあるため、味方選手がランニングし、そこへ正確な斜めのロングパスを出すことができれば、バイタルエリアを使わずしてもチャンスを作ることができます。
その時のロングパスを出す選手のコツとしてはゴールから遠い足でボールを持つことです。ゴールに近い足で持つとDFラインは警戒して上がりませんが、遠い足で持つと警戒が緩まりDFラインは上がることが多いのです。
その瞬間に内巻きのボールをDFラインとGKの間に入れることでバイタルを利用しなくとも攻略することができるのです。
ナポリ戦でのミランの2ゴールは両方ともファーからの折り返し。サイド深くに入れて視野を集める→マイナスのパスorドリブルで相手がラインを上げる→逆側のSBの背後を狙う。どうやってもボールと相手の同一視が難しいポイントなので、リトリートされた時の崩しの手段としても非常に有効だと思う。 pic.twitter.com/SGOjqedtFk
— Coach Tamura (@tam_futbol) 2018年8月30日
バイタルエリア攻略の練習
バイタルエリアを攻略する練習として以下の動画のような練習があります。
この練習のポイントは如何にCBを動かして、背後にスペースを作りだすかということです。
CBを動かすためには基本的にはポシジョニングの駆け引きで動かすか、ボールを動かして相手を動かすかの2つになります。
たまたまスペースができるということはなく、意図的にスペースを利用できたかどうかをしっかりジャッジすることで選手の質は高まります。
スペースを作る→使うタイミングを合わせることが必要で、それがいわゆる「イメージの共有」となり、バイタルエリアを崩す攻撃となるのです。
4-4ブロック崩し方の練習
— サッカーの技術と戦術を分析 (@boystraum) 2019年2月17日
ライン間で引き出したCBの裏のスペースにSHが走り込む練習
・狙うスペースの設定(ライン間に2つ、CB裏に2つ。)
・最初は4つのスペースに対して敵2人
・連動してスペースを空けて使う
+433への変更などpic.twitter.com/gl8ZuQmsWD
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【記事まとめ!】この記事で覚えて欲しい3つのポイント
ここまでバイタルエリアについて紹介してきましたが、この記事で覚えて欲しいポイントは以下の3つです。
①バイタルエリアは攻守において非常に重要なエリア
②バイタルエリアを守備で使われないようにするために中央へのパスコースをきる
③バイタルエリアを攻略するために中央→サイド→斜めのロングパスという順序で攻めてみる
この3つを覚えていただけたら、あなたの「バイタルエリア」はアップデートされたでしょう。