現代サッカーにおいてフリーキックの重要性は高まるばかりです。
セットプレー専門コーチが出てきている事実からもそれは明らかでしょう。
セットプレーはただ単に強くて曲がるボールを蹴ればいいというものではありません。
場所によって蹴るボールの種類を変えることで得点しやすくなりますし、味方と連携することでその確率を高めることができます。
この記事に掲載されている動画や記事を参考にして、効果的なフリーキックのバリエーションを増やし、より多くの得点を狙えるようチームに取り入れてもらえればと思います。
目次

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サッカーにおける2種類のフリーキック(FK)とは?
フリーキックとは
試合中にファウルや危険なプレー、不正行為が行われた時にその地点から反則を受けた側が再開できるルールです。
相手の妨害を受けずにボールをセットして、キックすることができます。
そのフリーキックにも以下の2種類があります。
・直接フリーキック
・間接フリーキック
直接フリーキック
直接フリーキックとなる主な反則は、
相手競技者に対して不用意に、無謀に、または、過剰な力で反則を犯したと主審が判断した場合、直接フリーキックが与えられます。押す、チャージする、蹴る、タックルするなどが該当します。また、ハンドも直接フリーキックになります。
そして、間接フリーキックと違い、
直接フリーキックはそのままシュートを決めてもゴールが認められるルールです。
近年、フリーキックによるゴールは非常に増えています。守備も整備され、現代サッカーでは流れの中でゴールを奪うことは簡単ではありません。
そのような背景からもフリーキックの重要性は年々高まっています。
2018年ロシアW杯でも総得点の43%がフリーキックであったというデータも残っています. フリーキックは非常に大きな得点チャンスなのです。
引用:https://www.footballchannel.jp/2018/07/16/post281822/
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間接フリーキック
間接フリーキックとなる主な反則は、
・ハイキックなどの危険なプレー
・オブストラクション(進路妨害)
・GKへのバックパス
・GKの6秒ルール
などがあります。
主審が片腕を頭上に上げるのが間接フリーキックの目印になります。
そして、直接フリーキックと違い、
間接フリーキックでは直接ゴールに入ってもゴールは認められません。フィールドの誰かにボールが触れてからではないとゴールすることはできないのです。
ボールが相手ゴールに直接入った場合、相手にゴールキックが与えられます。
直接ゴールに決めることはできないものの、ボールをセットしてフリーで蹴れるというのは大きなチャンスであることは間違いありません。
なんとなくゴール前に蹴るのではなく、明確なプランを持って蹴ることでより間接フリーキックを活かせます
色々な距離と位置からのフリーキック
フリーキックを蹴る際、ゾーンによって有効なキックの種類であったり狙う場所は異なります。
どのゾーンであればどのようなキックをすべきかという判断とその判断を実行することができるキックのバリエーションが必要となります。
【ゾーン1】ゴール前ど真ん中からのFK
【ゾーン2】ゴール前斜めからのFK
【ゾーン3】ゴール斜め45°からのFK
【ゾーン4】ペナルティーエリア横からのFK
【ゾーン5】ゴールから遠い位置でのFK
【ゾーン1】ゴール前ど真ん中からのFK

ゾーン1からのフリーキックはゴールに一番近いゾーンからのFKなので、決めれる可能性は高いですが見た目以上に難しいです。
ゴールまでの距離が近いため強く蹴りすぎれば上に飛んで行ってしまいますし、弱ければもちろん壁に当たったりしてゴールになりません。
GKの立ち位置も中央寄りに立つことも多く、セットした段階ではシュートコースを見つけにくいという特徴もあります。そういった意味でも他の場所以上に駆け引きが需要な場所でもあります。
縦落ち回転で狙う
縦回転で落ちるボールはカーブキックに比べてスピードが出やすいというメリットがあります。
急激に落ちることで、ゴールの上に飛んで行ってしまうということも防げるため、ゴールから距離が近い場面でも有効なフリーキックです。
壁の下を狙う
ペナルティーエリアギリギリの位置でのFKなどは、ボールが落ちきらずにゴールの上に飛んで行ってしまったりと逆に難しいものです。
そのような時にグラウンダーの鋭いFKは有効です。
ジャンプした壁の下を通せることができれば、得点の可能性はかなり高まります。
GKは基本的に壁を作ったサイドには立ちません。ですので、意表を突かれるだけではなく、グラウンダーのボールでGKにとっては非常にセーブしにくいフリーキックとなります。
鈴木惇の壁下フリーキック成功!!! #PS4share pic.twitter.com/Vv5SAPTBcx
— Reeeeei (@R_Avispa) 2018年2月17日
【ゾーン2】ゴール前斜めからのFK
ゾーン2のエリアは角度もありゴールまでの距離も適度にあるため、直接ゴールを狙うには最適なエリアということもできると思います。
このエリアからのフリーキックを得点にできるかどうかはそのチームの得点力に大きく影響します。
壁のニア(近い方)を狙う
GKから逃げるようなキックで壁のニアを狙う蹴り方は王道とも言えるFKです。
GKは壁とは反対側に立つため、ニア側にコースの良いFKを蹴られるとなすすべがありません。
GKから逃げるような鋭いカーブがかかったFKなどはとても止めづらいのです。
ただ、カーブをかけることやコースを狙うあまり、スピードがなさすぎてはゴールは決まりません。
よくあるのがカーブをかけようとこすり上げるだけのキックになってしまい、スピードが出ないで止められてしまうこと。
しっかりと体重も乗せて力強いキックをすることも心がけたいです。
壁のファー(遠い方)を狙う
GKは壁を作らない側(ファー)に立つため、つまりはゴールキーパーのいる側に蹴るフリーキックになります。
一見すると入らないように感じますが、GKはキッカーがニア(GKのいないサイド)を狙うことを予測してそちらに動きます。
その動きを予測して逆を取り、しかも逃げるようなボールを蹴り、ゴールを狙います。
GKとしては一歩でも踏み間違えると失点してしまうフリーキックです。
逃げるようなフリーキックでは、どうしても壁の上を通らなければいけませんが、向かうようなフリーキックであれば壁の外から巻くように蹴れます。
ストレートなスピードボールを蹴ることも可能です。
また、あらかじめコースが見えているような状況であるため、キッカーとしては蹴りやすいコースです。
しかしその分、GKとしても警戒するコースであり、それ相応のスピード・コース・駆け引きが必要です。
【ゾーン3】ゴール斜め45°からのFK
ゾーン3のエリアになると、ゾーン1やゾーン2に比べてゴールを入れることは難しくなってきます。
しかし、味方の動きであったり、球種次第ではゴールを狙うこともできます。
まだまだ十分ゴールの射程圏内ですので、有効に活かさなくてはいけません。
GKとDFラインの間(インカーブ)
GKとDFラインの間、かつファーサイドのゴールに入るようなインカーブボールを入れます。
このようなボールを入れると、DFはオウンゴールの可能性があるためクリアがとても難しくなります。
GKも相手のFWに少し触られてコースを変えられるか、味方に当たってゴールに向かってくるボールになる可能性も考えるため、簡単には動けません。
かといって最後まで動けないと、そのままファーサイドのゴールに入ってしまうリスクもあるので非常に難しい決断を迫られます。
GKにとってはギリギリまで決断を迫られる、とても難しいFKとなります。
4点目!なおくんのフリーキックが直接ゴールへ! pic.twitter.com/5k6fTeIMkK
— なつ (@natsuvivitan) 2016年12月23日
【ゾーン4】ペナルティーエリア横からのFK
ゾーン4はほぼコーナーと同じ位置からのフリーキックとなります。
しかし、コーナーに比べて少し角度があり、その少しが非常に重要です。
その角度があるがために、直接シュートの選択肢もあり、このエリアからゴールを決めるシーンも少なくありません。
ファーを直接インカーブで狙う
ファーをインカーブで狙うのもとても有効なフリーキックです。
縦落ち回転に比べて高さが出ないため、DFに当たる可能性もありますが、逆にそのことを利用することができます。
鋭く曲がってくる球は時に人の影から突然現れることもあり、GKの反応が遅れます。その一瞬の遅れは、優秀なキッカーにとってはゴールを決めるのに十分なのです。
また、このキックの際もキーパーの前に味方を走りこませます。
この場合は縦回転の時のような囮ということだけではなく、ボールが来れば実際に触ってコースを変える役割も担っており、そうすることでより強力なフリーキックとなります。
【ゾーン5】ゴールから遠い位置でのFK
ゾーン5からは直接入れることは難しく、中にボールを入れて味方が合わせてゴールを狙うのが基本となるでしょう。
ただその様な心理を逆手に取り、直接ゴールを決めてしまう常識の枠に捉えられないフリーキッカーもいます。
ファーサイドへのロビング
ファーサイドにロビングを入れてゴールを狙うパターンです。
DFのセオリーでは相手より内側にポジションを取ります。フリーキックの際も例外ではありません。
ですので、ファーサイド、DFの背中側の守備は多く場合どうしても手薄となります。
そこに高いロビングを入れて相手の上から叩きます。
DFは背走しながらのヘディングとなるため競りにくいだけではなく、場合によってはマークに付き切れずフリーでヘディングをさせてしまうことにもなります。
また、動画では直接ヘディングを入れていますが、ここからの折り返しを中の選手が決めるというのも相手からすれば非常に守りにく攻撃パターンとなります。
空中戦に絶対的な強さを誇る選手を配置することができれば、より効果的でしょう。
エスペランサSC vs 東京国際大学FC
— Esperanza SportsClub (@SportEsperanza) 2019年4月6日
鈴木心のフリーキックを、長身ジョアンダビド・ロハスメナがヘディングで2点目のゴール!!#エスペランサSC#絶対できる pic.twitter.com/YjFiCpQWxn
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トリックを使ったフリーキック
トリックを使ったフリーキックとは相手の意表を突いたフリーキックの方法のことです。
相手の意表をつけるので、相手の守備のタイミングをずらすことができます。
GKや守備側とすれば、いいコースに蹴られることも嫌ですが、タイミングをずらされると反応すらできずにすごく守りにくいのです。
いいコースに飛ぶシュート以上に、タイミングをずらされたシュートを嫌がるGKは多くいます。
また、トリックフリーキックはやることがバレてしまってもいけないので、1回で成功させることも大切な要素です。
無回転フリーキック
日本を代表する無回転フリーキックを蹴る選手と言えば本田圭佑選手です。
近年になって増えてきた無回転のフリーキック。
無回転フリーキックはコースももちろん狙いますが、それ以上に回転をかけないことで生まれる変化の大きさで勝負するFKです。
コースがそれほど良くなくても、ボールのブレで一瞬でもGKの逆をつくことができればゴールは決まります。
また、決まらないまでも無回転のフリーキックをキャッチするのはほぼ不可能です。
弾き方が悪ければそのままゴールに入ってしまいますし、セービングしてもこぼれ球を詰められたりとその後の対応もとても難しくまさにGK泣かせのFKとなります。
無回転フリーキックの蹴り方・コツ・練習
無回転フリーキックはコツをつかむことができれば誰でも蹴ることが可能です。
まず助走はあまり角度をつけないこと。
角度をつけすぎると蹴る際にどうしても体のひねりが生じてしまい、ボールに回転がかかってしまいます。
ボールの中心よりやや下を足の親指の付け根周辺でやや上に向かって蹴ります。
無回転では「ボールの中心を」と言われることも多いですが、やや下を捉えることがポイントです。
足の振り方は膝下で振り抜きます。
股関節から大きく振ると、ボールの捉えどころの調整も難しくなってしまいますし、振りが大きくなり余分な回転をボールに与えてしまいます。
上記のポイントを押さえながら、数を蹴ることで習得することができます。今挙げたポイントはあくまでも基本であり、あとは自分なりに調整していくことが大切です。
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【守備編】フリーキックの守り方
ここまではフリーキックの攻撃側について様々な観点から解説してきました。
しかし、サッカーには攻撃があれば、もちろん守備もあります。
相手にフリーキックを与えないことがベストですが、与えてしまったものは仕方がありません。
しっかり守りきることに頭を切り替えましょう。
フリーキックだからと言って、なんの考えも持たずにただただ相手のフリーキックに対応していては、失点してしまう可能性が高いです。
せっかく試合の良い流れをつかめていたのにたった1本のフリーキックで失点をし、その後固く守られて、負けてしまったという経験はないでしょうか?
また、そのような試合を見たことはないでしょうか?
そのようなことが起こらないようにここからは、フリーキックの守り方について解説したいと思います。
【キーパーの守備編】フリーキックの壁の枚数と作り方
相手のフリーキックの際は壁を作り、ゴールを守ります。
様々な状況によって枚数や立ち方などは変わってきますがポイントは、
①FKの場所に応じて枚数、立たせ方を調整する
②キッカーの特性を考慮する
③GKが守りやすい状態を壁と協力して作り出す
ということです。
①FKの場所に応じて枚数、立たせ方を調整する
壁の立たせ方はボールとニアポスト(ボールに近い方のポスト)を結んだ線上に壁の基準となる選手を立たせます。
そして、直接フリーキックで決められてしまう可能性が高ければ高いほど、壁の枚数を増やします。
ペナルティーエリア正面あたりですと、5~6枚ぐらいの選手を壁に立たせましょう。
ただ、キッカーの特性やFKの位置によって、細かい壁の枚数の調整は必要です。
②キッカーの特性を考慮する
そのキッカーはどっち利きなのか、カーブが得意なのか無回転が得意なのか。
それによって、通常より若干ニア気味に立たせたり微調整することで、相手に対してプレッシャーを与えます。
③GKが守りやすい状態を壁と協力して作り出す
そして、何よりGKが守りやすい状態を作るということです。
セービングする方向もGKによっては得意な方と苦手な方があります。
また、わざと一方のコースを空けておいて、その方向に誘うように蹴らすなど、キッカーとの様々な駆け引きなどもあります。
その様なことを考慮し、相手に蹴りにくい状況を作り出し、GK自身が守りやすい状態を作り出すことが重要なのです。
W杯で魅せた日本代表のフリーキックでのオフサイドトラップ
フリーキックでのオフサイドトラップはリスクも高いですが、それだけ効果もある戦術です。
サイドや中距離からのフリーキックは、ゴール前にボールを入れ、オフェンスの選手がそのボールに飛び込むというパターンが多く使われます。
その攻撃方法を逆手に取り、フリーキックを蹴る直前にラインを一気に上げオフサイドを取りに行きます。
うまく決まれば大人数の相手を一気にオフサイドにすることができる、非常に大胆な戦術です。
もちろん、ラインを上げるタイミングが合わなかったり、後方から走りこむ相手がいると大ピンチになるので、危険性もとても高いです。
その対策として、映像にもありますが、
ラインを上げるグループと逆にゴールに戻るグループを作ることで、
オフサイドトラップを失敗した時に素早くカバーができるので有効です。
残り時間わずかな時は相手も焦ってゴールに飛び込みがちです。
そのような時にこそ勇気はいりますが、このトラップは抜群の効果を発揮します。
相手を罠にはめた瞬間、DFにとってはこの上ない快感でしょう。
壁の下を狙ってくるFKに対しての守り方
下を狙ってくるフリーキックに対してどのように対応すれば良いのか?
一番シンプルなのが、壁自身が駆け引きするということ。
上のボールを予測して高く飛ぶのか、もしくは、下のボールを予測して低くジャンプしたり飛ばないようにするのか、駆け引きを行います。
しかし、駆け引きは確実性はありません。
予測が外れた時は相手に大きなシュートコースを与えることとなります。
ですので、最近では動画のように
一人地面に横たわり、グラウンダーのブロック要員を置く方法
も出てきました。
壁の人数+ブロック要員で中で相手をマークする選手やカウンターに備える選手などの部分で少なくなるデメリットはありますが、フリーキック対策としては非常に有効な守り方です。
【記事まとめ!】この記事で覚えて欲しい3つのポイント
ここまでサッカーにおけるフリーキックについて紹介してきましたが、この記事で覚えて欲しいポイントは以下の3つです。
①現代サッカーではフリーキッックは大きな得点源となっており、とても重要
②状況に応じた球種・駆け引きを行うことで得点の可能性は高まる
③守備にも様々な守り方があり、プランニングする余地はある
この3つを覚えていただけたら、あなたの「サッカーにおけるフリーキック」はアップデートされたでしょう。