現代サッカーでは、相手守備陣を混乱に陥れ、
ゴールに直結する動きとして、重宝されている戦術であるダイアゴナルラン。
かなり広く知れ渡り、多くの人が使うようになった戦術用語だからこそ
今さら周りの人には、少し聞きづらい面もありますよね。
そこでこの記事では、ダイアゴナルランについて徹底解説します。
ダイアゴナルランとはという基礎知識から始まり、メリットや練習法、
使うべきタイミングを幅広く紹介します!

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ダイアゴナルランとは?
ダイアゴナルランとは、直訳するとダイアゴナルが「対角線」
ランが「走る」なので「斜めに走ること」を意味します。
従来は走るというと縦方向か横方向が基本だったのですが、
現代は相手にマークの受け渡しと横のスライドを同時に用いるダイアゴナルランは
戦術上重要な要素となっています。
オフザボールの動き
まず「オフザボールの動き」とはボールを持っていない選手の動き出しを指します。
サッカーはいかにゴールを決めるかという単純な勝負ですが
だからといって単純に選手全員がボールに向かってしまっては成立しません。
サッカーは90分間にわたって試合を行いますが、
1人の選手がボールを持つ時間は、1人当たり約2〜3分と言われています。
しかし選手は90分間走り続けるので
ボールを持っていないオフザボールの動きが勝敗を分けるのです。
- パス&ゴー
- デコイラン
- ダイアゴナルラン
- 第3の動き
パス&ゴーとは、パスを出した選手がその場で足を止め、
とどまることなくゴールに近いポジションに走り出すことを指します。
パス&ゴーは、ワンツーと非常に似ています。
ワンツーはパスを出した後にスペースに走り出し
パスを出した相手から再びリターンのパスをもらいますが
パス&ゴーは必ずしも再びボールをもらえるとは限りません。
しかし相手守備陣はスペースに走り出した選手のマークにつかなければならないため
たとえリターンのパスをもらえなかったとしても、パス&ゴーは効果的な動きになります。
デコイランは元々狩りの際に使う用語で「おとり」を意味する言葉です。
サッカーでは相手ディフェンダーを引きつけ、
味方選手のために有効なスペースを作るためにおとりになることを指します。
例えばフォワードの選手がゴール前でニアサイドで走り出せば、
相手のディフェンダーはニアサイドをケアしようとします。
ディフェンダーがニアサイドに寄ればファーサイドにスペースができるので
背が低い選手にもマークが厳しいゴール前でチャンスを作ることができます。
このときのフォワードの選手がニアに寄る動きをデコイランと呼びます。
最初に説明した通り、ダイアゴナルランは「斜めに走ること」です。
なぜ効果的かというと相手ディフェンダーがマークしにくいからです。
例えば縦方向への移動であれば、ボランチからセンターバック
サイドハーフからサイドバックなど、自分より後ろを守る選手にマークを受け渡すだけです。
そして横方向への移動であれば、サイドハーフからボランチ
サイドバックからセンターバックなど自分の横を守る選手にマークを託すだけなので
相手にとってあまり脅威にはなりません。
しかし斜めの動きだとマークにつきにくく、マークの受け渡しも困難になるため非常に有効と言えます。
3人目の動きとも呼ばれる「第3の動き」とは
パスの出し手でもパスの受け手でもない3人目の選手がボール関わってくる動き出しを指します。
相手ディフェンダーは基本的にパスの出し手となるボール保持者と
パスの受け手となる選手には必ずマークをします。
危険を感じる2人目までの動きには注意を払っていますが
どうしてもその他の選手の動きには、ケアが軽くなってしまいます。
つまり、3人目の選手のマークが軽くなりチャンスにつながる可能性が高くなるのです。
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ダイアゴナルランっていつ使うの?
相手守備陣を混乱に陥れるダイアゴナルランですが
使うタイミングは、どのようなときがベストなのでしょうか?
無駄になってしまわないようにダイアゴナルランを使うべき有効なタイミングについて解説しました!
- ペナルティエリアへの侵入
- ディフェンスラインの背後を取る
- サイドで裏を取る
まず「ペナルティエリアへ侵入するとき」がダイアゴナルランを使うのに有効なタイミングです。
主にサイドの選手が、中央のペナルティエリアに侵入します。
ボールから離れていて、ゴールからも離れているサイドの選手がゴール前めがけてダイアゴナルに走ってくると、高確率でフリーでボールを受けられます。
相手センターバックはボール保持者やトップ下など中央の選手のケアをしているので
斜めの動きに対応できず、とても有効な動きとなるのです。
「ディフェンスラインの背後を取る時」もダイアゴナルランが有効に機能するシーンの1つです。
現代サッカーではハイライン戦術が流行しており、2019年のJ1リーグ覇者の横浜F・マリノスも採用している戦術ですが
相手守備陣の最終ラインが高いときに、ダイアゴナルランは有効です。
例えばボールを保持しているサイドとは逆サイドの選手が、相手サイドバックの裏から、
または相手サイドバックとセンターバックの間から、ダイアゴナルに走り出します。
相手ディフェンダーの目がボールに行っている瞬間に走り出し、ボールを引き出すことができれば
ディフェンスラインの背後で、フリーでボールを受けることができ、ビッグチャンスにつながります。
今までサイドの選手が斜めに走り出し、中央でボールを受けるダイアゴナルランを紹介してきましたが
今度はセンターフォワードなどの中央の選手が、サイドを有効に使うための「サイドで裏を取る」ダイアゴナルです。
例えば味方のサイドバックがボールを保持しており、
ウイングがデコイランの動き出しで少し下がり、ボールを受けに行こうとします。
ウイングがボールを受けに行くと相手のサイドバックがマークにつこうと動き出し
一時的にサイドバックの裏のスペースが空きます。
その空いたスペースに中央からサイドにダイアゴナルに走り出せば
サイドからチャンスが作り出せるのです。
ダイアゴナルランのメリット
ダイアゴナルランを使う具体的なメリットを挙げていきましょう。
相手守備陣を錯乱させることだけでなく、さまざまな副産物も生み出します。
ダイアゴナルランのメリットをよく理解すれば
なぜダイアゴナルランが、重要な戦術として機能しているのかが分かるはずです。
- マークを外すことが出来る
- スペースを作ることが出来る
- ボールとゴールを視野に
- オフサイドになりにくい
ダイアゴナルランの最も明確なメリットは、相手のマークを外すことができることです。
例えば、相手が4バックで、センターバックが2枚いるとします。
相手のセンターバックは基本的に中央の選手へ目を光らせています。
そこで右ウイングの選手がダイアゴナルランで中央に入ってくると
まず相手の左センターバックの視界に入り、マークしようとケアをしに来ます。
しかしそこからさらに中央に切り込む走り出しをすることにより
今度は相手の右センターバックにマークの受け渡しをしなければならなくなります。
ダイアゴナルに走りこんできたウイングの選手のケアだけでなく
元から中央にいた選手やボール保持者にも注意を払わなければいけないません。
ダイアゴナルランが、相手守備陣にとって、どれだけ嫌な動きかが分かりますよね。
味方に有効な「スペースを作りだすことができる」という点もダイアゴナルランの大きなメリットの一つです。
特に有効なのは、中央の選手がダイアゴナルランでサイドに流れる動き出しを行うことにより
中央にスペースを作ることができるケースです。
相手からするとゴールから遠いサイドに広大なスペースが生まれることよりも
失点の可能性が高まる中央やゴール前に大きなスペースができてしまうことのほうが、明らかに脅威となるからです。
視野を確保したまま走り出せるという点も、ダイアゴナルランならではのポイントです。
特にサイドの選手が中央に向かってダイアゴナルに走り出した場合により効果が大きくなります。
斜めに動き出せば、ボールとゴールを視野に入れながら走りこむことができます。
ボールとゴールを見て走り込めれば、その後のコントロールも上手くいく可能性が高まるので
相手にとっては脅威に、自分にとっては大きなメリットになるのです。
センターフォワードが直線的にディフェンスの背後を取りに走り出す場合は
相手ディフェンダーはフォワードとボールを同時に視野に入れることができるので
オフサイドにかかってしまいやすくなります。
しかしサイドからダイアゴナルに動き出せば相手ディフェンダーの視界の外から入っていくことができ
斜めに動いているため最終ラインを超えにくいのでオフサイドにかかりにくいのです。
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ダイアゴナルランの練習メニュー

最後にダイアゴナルランの練習メニューを紹介します!
普段の練習から試合を想定した密度の濃いトレーニングを行って
ダイアゴナルランを習得しましょう!
- ダイアゴナルランのシュート
- ダイアゴナルランのパス
アタッキングサードでダイアゴナルランを駆使し、相手ゴールを脅かす有効な手段にするために
ダイアゴナルランをシュートにつなげる練習を行っていきましょう。
①パサーとフォワード、2人一組で行います
②パサーが中央に位置取るフォワードにくさびのパスを出し、フォワードはワンタッチでパサーにリターンパスを出します
③リターンパスを出したフォワードは一度、サイドに流れます
④ある程度サイドに流れた段階で、再び中央に向かって斜めに走り込みます
⑤パサーは、斜めに走りこんでくるフォワードにパスを出し、フォワードはシュートで終わります
次は、パス側に焦点を当てたダイアゴナルランの練習法を紹介します。
①コーンを4つ置き、四角形を作ります。そこにコーン1つに1人ずつ、計4人の選手を配置します
②まず、最初のボール保持者は、対角線にパスを出し、その後右回りで隣のコーンに向けて走り出します
③パスを受けた選手は、左方向の選手にパスを出し、右方向に走り出します
④パスを出された選手は、対角線にボールを出し、出された選手は、左方向にパスを出します
⑤また、出された選手は対角線にパスを出し、右方向に走り出す
⑥②〜⑤を繰り返し行います。
まとめ
ダイアゴナルランは相手側から見ると
マークのスムーズな受け渡しが困難で
守備ブロックのスライドも強いられるので非常に厄介です。
もしあなたがダイアゴナルランを使いこなせるようになれば
相手の脅威になるだけでなく、自チームの強みとなるはずです。
ダイアゴナルランを理解し自分の選手としての価値を一段上のレベルに上げていきましょう!
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