「カットボール」というボールを知っていますか?
近年野球界でトレンドとなっている変化球の1つですが、具体的にどのようなボールなのか説明するのは難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、カットボールとはどのような軌道を描く変化球なのか、相手打者を打ち取るうえでの有効性はどの程度なのかという点から、具体的にカットボールを投げる際のポイントも紹介します。
目次

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カットボールとは
カットボールとは、ほぼストレートに近い軌道を描きながら、ホームベース付近で少し球筋が変化する変化球の名称です。
今から数十年前、まだカットボールという名称がつく前にも、まっすぐに近いながらも少し打者の手元で変化する「真っスラ」というボールを投げているピッチャーが居ました。
それが、今日ではカットボールという名前に変化し、カットボールを持ち球とするピッチャーも数多くいます。
右ピッチャーであれば、左バッターの胸元に食い込む、左ピッチャーであれば、右バッターの胸元に食い込むようなボールになります。
ストレートとの球速差が少なく、軌道もストレートに近いため、バッターはまっすぐと勘違いして差し込まれたり、芯を外してくれる可能性が高いため、ゴロアウト、フライアウトを取りたいときに有効なボールです。
現在の日本球界でカットボールの名手と言えばプレミア12でも活躍したオリックスの山本由伸投手が挙げられます。
150km前後のまっすぐと140km後半のカットボールを駆使して国際試合でも相手打線を翻弄させました。球数を節約してアウトを取れるカットボールは球数制限が厳しい国際試合でもとても有効なボールです。
カットボールとスライダー違い

ここで疑問に感じるのが、カットボールとスライダーの違いです。どちらも軌道は似たようなボールですが、カットボールとスライダーという2つの名称で分けられています。
この2つのボールの違いは、一般的にボールの変化量と球速差にあると言われています。
スライダーは、カットボールと比較してもボールの変化量が大きく、リリースした時点ではストライクゾーンに来るように見えても、打者の手元では完全にボールゾーンに外れるような軌道を描きます。
このようにスライダーは、ストライクゾーンからボールゾーンへ変化し、空振りを奪うボールという印象が強い変化球です。
一方でカットボールはスライダーと比較しても変化量が少なく、変化してもそれはストライクゾーン内で収まる場合が多いのが特徴です。
そのため、打者は空振りをするというケースは少なく、芯を外されてゴロやフライアウトでアウトを取られるケースが多く見受けられます。
そして、スピードに関しては、スライダーはストレートとの球速差が10kmから15kmほどありますが、カットボールでは、ストレートとほぼ同じ球速で投げ込んでくるピッチャーもいます。
つまりカットボールとスライダーはどちらもスライダー系統の変化球ですが、カットボールはよりストレートに近いスライダーというボールになります。
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高速カットボールの高速ってどういう意味?

野球中継を見ていると、たまに高速カットボールという言葉を耳にしますが、普通のカットボールとどう違うの?と思いますよね。
高速カットボールとは、ストレートとの球速差がほぼ無く、ストレートに極めて近いカットボールを高速カットボールと呼んでいます。
特にMLBで高速カットボールは重宝されており、ドジャースのクローザーであるケンリー・ジャンセン投手の高速カットボールは印象に残っているという人も多いのではないでしょうか。
彼の投球はストレート、カットボール、スライダーの3種類で構成されていますが、そのうちストレートが平均153km、カットボールが平均150㎞の球速が出ています。
このようにストレートとカットボールはほぼ同じ球速で、軌道だけが僅かに違うというボールになっています。
このように一見ストレートに見えて、実はわずかに変化しているボールを高速カットボールと呼びます。
【初心者向け】カットボールの投げ方!
ここからは、野球初心者向けにカットボールの投げ方を紹介します。
主にボールの握り方や、リリース時のコツなどをYoutubeの映像と合わせて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
ダルビッシュ有投手がカットボールを解説!
この記事では、文字による解説だけでなく、Youtubeにある動画を使用して解説を行います。
今回はカブスに所属しているダルビッシュ有投手本人が解説しているカットボールの投げ方の動画も併せて載せておきます。ぜひ参考にしてみてください。
まずは、ボールの握り方です。同じカットボールでも握り方が微妙に違うと、それだけでボールの軌道は大きく変わってくる場合もあります。
ダルビッシュ投手の握り方は、人差し指の第一関節あたりをボールの縫い目にかけて、中指をその隣に添えるという握り方です。
ボールの変化量を調整するには、親指の位置や腕の角度で調整します。
ストレートと同じような握り方のため、それほど難しい握り方ではありません。
カットボールの腕の振り方
続いては腕の振り方です。ピッチングの基本としては、変化球でも直球でもどの球も同じフォームで投げられるのが理想だと言われています。
ボールによってフォームが変わっていたらバッターに球種を読まれて簡単に打たれてしまいますからね。
プロの世界では一見同じフォームで投げているように見えても、腕の角度のわずかな違いなど細かいところを相手は見ています。
そのため、カットボールを投げるときでも意識は握りだけ変えて真っすぐを投げるというイメージです。
腕の振りは、真上から投げる純粋なオーバースローの人や、少しサイドから投げる人など、様々な癖がありますが、どのような投げ方の人であれ、カットボールの時でも投球の基本であるまっすぐを投げるときの腕の振りを強く意識しましょう。
リリース時のポイントを紹介!
最後にリリース時のポイントです。リリースとは、指からボールが離れる瞬間のことを指します。
どれだけフォームが良くてもリリースの瞬間がダメだと、ボールが抜けてしまったり、引っかかってしまったりと、コントロールがつかないボールになってしまいます。
カットボールの場合は、先ほど握り方でも紹介しましたが、親指、人差し指、中指の3本の指で握ります。薬指と小指は宙ぶらりんです。
しかし、その薬指と小指は、リリースの瞬間に登場します。リリースの時に薬指と小指の2本にグッと力をこめるイメージで、指を丸める動きを加えます。
そうすると、ボールにサイドスピンがかかり、より横方向に動く切れ味鋭いカットボールが投げられるのです。
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サイドスローの人がカットボールを投げるコツは?
ここまではオーバースローでのカットボールの投げ方を紹介してきましたが、サイドスローピッチャーがカットボールを投げるときのポイントを紹介します。
サイドスローは腕が横から出てくるため、ボールにサイドスピンが入りやすく、カットボールは比較的投げやすいと言われています。
ポイントとしては、リリース時にストレートを投げるときよりも掌を空に向けてリリースすると、ボールに安定して横回転がかかりやすくなります。
そして人差し指と中指でボールを切るようなイメージで投げると、ボールがすっぽ抜けにくくなりコントロールも安定しやすくなります。
まとめ
ここまで、カットボールについて、その特徴や投げ方を紹介しました。
カットボールは現在世界中で主流のボールであり、肩、肘の疲労に対して慎重になってきた日本球界でも、球数が節約できるカットボールは、今後ますます広がっていくとみられています。
ストレートと似ている握り方のため、初めて変化球を習得したい人にとってもとっつきやすいボールでもあります。ぜひトライしてみてください。
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